記事制作で楽するためのライター探し(2)「SEO記事が得意なライター」の探し方
だいぶ前に、「記事制作で楽するためのライター探し(1)ライター業界の回転寿司・クラウドソーシング」というコラム記事をアップしました。
本稿は上記記事の続きとして、「SEOが得意なライター」を探している企業担当者様などへのヒントとなることを目的に起稿しました。
最初にお断りしておきますが、私自身は「SEOライター」というわけではありません。これまでにWebメディア掲載用の記事は数100本書いており、そういった記事はおそらくSEO対策という含意もあるものも多いと思われますが、私自身がSEOキーワードの調査や設定などをすることは、原則としてありません。お客様からキーワードが指定されれば、それに応じて執筆することはありますが、特にSEOを意識した構成や内容といったことを考えることはありません。単に、読みやすく、正確な内容で、なによりも読者のためになる記事を書くことだけを心がけてきました。
ところが、先日、知人から「SEOが得意なWebライターを知らないか」という相談を受けたのです。ある商品のプロモーションサイトを作るので、特定のいくつかのキーワードでgoogle検索の上位(できれば1位)に表示させたいということでした。
私は、「残念ながら、そういうことができるWebライターは知らないので、力にはなれない」と伝えましたが、その後、はて、じゃあそういうライターを見つけるにはどうすればいいのだろうかと考えたのです。
SEOが得意なライターかどうかの見極めは簡単
ツイッターやフェイスブックなどのSNS、あるいはランサーズやクラウドワークスなどのジョブマッチングプラットフォームには、プロフィール欄や投稿で、「SEO記事が得意です」といったことをアピールしている人がたくさんいます。「Webライター」とか「Webマーケター」と自称する人たちです。
その人たちが本当に「SEO記事が得意」なのかどうか、見極める方法は簡単です。
「SEOライター」「Webマーケター」などで検索して、そのWebライターやWebマーケター自身が運営している個人Webサイト、法人Webサイト、個人ブログ(note記事)などが、検索上位に表示されるかどうかを確認すればいいだけです。
「SEO記事が得意」なら、当然、自分が運営するWebサイトやブログ(note)を上位表示させることができるはずです。検索結果の1ページ目にその人のWebサイトが表示されていれば、本当に「SEO記事が得意」なライターだと判断してもいいでしょう。
逆に、「SEO」や「SEO +ライター」などで検索して、その人自身のWebサイトやブログ、note記事などを、検索結果の1ページ目(せめて2ページ目)に表示されないのでは、とうてい「SEO記事が得意」「SEOに強い」とはいえず、「看板に偽りあり」だといわざるを得ません。また、驚くべきことに、「SEOが得意」といいながら、自分自身のWebサイトやブログを運営していない人も中にはいます。これは、包丁やまな板すら持っていないのに「料理が得意です」というようなものであり、完全に問題外です。
「本当にSEOが得意」なWebライターを探したいのなら「SEOライター」で検索して、上位表示されるかどうかを確認するだけ。シンプルです。
「本当にSEOが得意」なライターに依頼できないなら
ただし、上の方法で検索して上位表示されているライターに業務を依頼をしようとしても、スケジュールや予算の関係で、依頼ができないということもあるでしょう。これについては、まず「かけるべきところには、適切な時間や予算をかける」というのが正道です。
スケジュールについては、プロジェクト全体の進行などがあるでしょうから、いかんともしがたいことはあるかもしれません。しかし、予算をケチることは特におすすめできません。以前の記事にも書いたように、極端な安価での発注は、結局「安物買いの銭失い」になる可能性が高いからです。
しかし、諸般の事情により、検索結果で上位に表示される「本当にSEOに強いWebライター」に依頼できず、他の人に依頼したいケースを考えてみます。
その場合、まず手がかりとなるのは、そのWebライターの過去の実績でしょう。しかし、この「実績」というのも、なかなかクセモノなのです。
「自分が書いた記事が◯◯のキーワードで検索1位になりました」といったことを根拠に「SEOが得意」というWebライターもいます。しかし、検索順位を決める要因はひとつではありません。そのWebライターの書いた文章が優れていたから上位表示されたのか、それとも他の要因(編集者やディレクターによる記事の調整、メディア自体の力やドメインパワー、など)によるところが大きいのかは、実際のところ、google以外にはわからないのです。
また、これまでに200本の記事を書いて、合計で1000のキーワードが含まれていたとします。すると、その中で1本や2本は、特定のキーワードで「たまたま」1位になった記事があっても不思議ではありません。それは単なる偶然です。
そこで、まず計数的な確認をすべきでしょう。つまり、これまでにどれだけの本数の記事を書いて、その内どれだけが検索上位になったのかを確認すればいいのです。200本の記事のうち50本の記事(50のキーワード)で検索1位になっているのなら、(いわゆる「ワードの大きさ」はあるにせよ)それはたしかな実力だと認めることができると思います。しかし、200本のうち1位になった記事(キーワード)が、1本か2本だったら、偶然ではないだろうかと考えられます。
再現性を持つためにはロジカルな方法論が必要
さらに、計数面だけでなく、ロジックから問うことも必要です。これは、将来における再現性を確認するという意味です。過去の実績を掲げて「SEOが得意だ」というライターには、「では、どうしてその記事が上位表示されたのですか」と聞いてみるといいでしょう。
そのときに、「タイトルにキーワードを入れる」「PREP法で結論から先に書く」みたいな、だれでも知っている初心者レベルのノウハウ以外で、「上位表示された理由」をロジカルに説明できるのなら、かなり信用できるのではいかと思います。ロジカルに説明できるということは、今後の再現性が高いということだからです。
逆に、「上位表示された理由」をロジカルに説明できないのであれば、単なる偶然、あるいは、そのWebライターが書いた文章以外の要因による上位表示である可能性もあります。つまり、これから公開される記事について、上位表示される蓋然性が不明だということです。
以上、「本当にSEOが得意なライター」を探すための参考になさってください。
餅は餅屋で、しっかりしたSEO対策を
最初に書いたように、私自身は、テクニカル面・形式面でSEOを意識するような記事執筆依頼を受けたことはありません。しかし、記事が読者からの高いエンゲージメントを獲得した評価されたことは、たびたびあります。
なぜそうなるかといえば、私に記事を依頼する編集者やディレクターが自分で、あるいは、専門のSEO担当者に依頼して、調整しているためだと思います。つまり、記事を書くライターと、SEO的な調整をする担当者が分業して、それぞれ得意な業務を担当しているということです。
実際、googleの表示アルゴリズムはたびたび大きく変わるために、「SEOテクニック」も数年スパンで見れば大きく変化しているようです。5年前に出された本に書かれている「SEOテクニック」が、いまでも奏功する保証はまったくありません。それをきちんと検証しつつ追求することは、高度な専門知識が必要であり、テクニック本を2、3冊読んだ程度のWebライターが片手間にできるようなことではないように思えます。
餅は餅屋です。記事は記事でライターが良い内容の記事をきちんと作る、SEOはSEOで専門知識を持った担当者がきちんと調整する、そのような分業が、結局のところ効率的なのではないでしょうか。