ブックライターとゴーストライター

「ブックライター」がおこなう「ブックラインティング」の業務は、「ゴーストライター」がおこなう「ゴーストライティング」とニアリーイコールです。

以前、私はこのことを知らず、「ブックライター」とは「著者として書籍を書いているライター」という意味だと勘違いしていました。ですから、「自分はゴーストライティングの仕事はしているが、ブックライティングの仕事はしていないな」と思っていたのです。

しかし、最近(2022年)では、ブックライターという言葉も、だいぶ市民権を得ているようです。ゴーストライターという言葉のほうが、まだ一般的には通りがいいでしょうが、なにかコンテンツを作ったりするような仕事にかかわる人なら、ブックライターとかブックライティングという言葉で通用することが多くなった気がします。そこで私も、ブックライターと自称することが増えました。

実際のところ、ブックライターとは、著者に取材をし、著者に代わって、著者の言いたいことを原稿にまとめる仕事で、いわゆるゴーストライターとほとんど同じです。ただし、ブックライターを名乗っている人の場合、奥付に「編集協力」「執筆協力」あるいは「取材・構成」などの形で、クレジット(記名)が入る場合もあるようです。ゴーストライターと呼ばれる場合は、文字通り表には姿を見せない「ゴースト」なので、そのようなクレジットが入ることは原則的にありません。

ところがややこしいことに、ブックライターとしての仕事といわれる場合でも、そういったクレジットが入らないこともあります。その場合は、ブックライターとゴーストライターとは、単に呼び方の違い、ということになります。ゴーストライターという言葉は、少しイメージが悪いので、聞こえの良い言葉に言い換えている、と考えてよいでしょう。

著者の徳

ブックライターの中には、ブックライターとして(あるいは、企画、構成、取材、などとして)書籍にクレジット(記名)が入ることを重視している人もいるようです。

私は、自分が書いた記事や書籍に自分の名前がクレジットされるかどうかは、どちらでもいいと思っています。お客様が、出した方がいいと思われる場合は出していただいて結構ですし、そうではないと判断される場合は、もちろん出さないで結構です。名前を出してほしいという希望は特にありません。

別記事でも書きましたが、私はライターの仕事に”作家性”は必要なく、“職人性“だけがあればいいと考えています。とりわけ、著者の方の名前で出す書籍の場合は、ゴーストライターはゴーストのまま存在を明らかにしないほうが、どちらかといえば良いのではないかと思います。

美しく整えられた庭に、庭師の名前はクレジットされていません。庭の美の本質は草木の徳であり、それで十分だからです。同様に、書籍の真善美の本質は著者の徳です。そこにライターの名前が入ることで、その徳を損なうことこそあれ、補うことはないように思われます。