成功する記事制作の業務フロー

「ライターに取材記事の制作を頼みたいのだけど、どうやって頼めばいいの?」といった質問を受けることがたまにあります。出版社やオウンドメディアを運営しているWeb制作会社などは別として、一般企業の方がライターを使う機会はあまりないので、ライターの使い方のノウハウもお持ちではないのでしょう。そこで、ライターにライティング業務を発注なさりたいクライアント企業様向けに、成功する記事制作ための業務フローをまとめてみました。

なお、本稿は「ライターを探す、見つける」段階については触れておらず、依頼するライターが決まった後の具体的なプロセスを記載しています。ライターの探し方については、いずれ別記事でまとめるつもりです。

成功する記事のためには制作プロセスが重要

当然の前提ですが、ライターが納品するプロダクト(文章や記事)は、お客様のなんらかの業務上の目的をかなえるための、業務用の「素材」あるいは「商材」となるべきものです。

一方、文章や記事は、基本的に受注生産品であり、お客様に発注いただいてから制作して完成品を納品します。つまり、発注段階ではプロダクトが存在していません。

そのため、制作前の段階で正しいプロセスを踏まないと、お客様が考えていた事前想定と制作されたプロダクトとのズレが生じやすくなります。すると、修正指示のやりとりをしなければならず、「ライターを使わずに自分で書いた方が早かった」といったことにもなりかねませんし、最悪の場合、期初の業務上の目的が達成できなくなります。

そういった事態を防ぐためには、制作に入る前の事前準備や、制作の各段階での確認などで、正しい制作プロセスが踏むことが重要です。優れたプロダクト制作のためには、お客様とライターとが互いに協力し合って制作プロセスを進めていかなければなりません。

しかし、出版社などのメディア関連企業を除いて、そもそも正しい記事制作プロセスについてご存じではない場合も多いでしょう。そこで、記事制作のための正しい制作プロセスを示します。あくまで下記のプロセスは一般的、典型的なものです。なお、記述を簡潔にするために、以下では「記事」という言い方でまとめていますが、さまざまな文章によるプロダクト一般のことだとお考えください。

成功する記事制作の9プロセス

(1)業務課題を抽出し、記事の目的を確認し、関係者で共有する

御社において業務上達成されるべき目標や課題を明確にし、その中で記事の果たす役割を規定することからスタートします。つまり、「なんのために記事を作るのか」「記事による達成目標はなにか」を、事業戦略や業務プロセスのなかに位置付けて明確化しておくということです。

この段階は、基本的にお客様の方で実施し、ライターに正確に伝えていただきます。ただし、必要に応じてライターが参加する場合もあります。

(2)ターゲットおよびメッセージ、掲載メディアの確認

(1)を踏まえ、どのようなターゲットに対して、どんなメッセージを伝えるのかを定めます。目的にもよりますが、ターゲットはなるべく具体的に設定します。また、メッセージとは、読者に希望するアクションだともいえます。

掲載するメディアは、パンフレット・カタログ、小冊子、書籍、自社Webサイト、ランディングページ、オウンドメディア、SNSなど、各種あり、目的に応じて使い分けます。ひとつの記事ソースを加工しながら複数のメディアで利用することもあります。

この段階も、基本的にお客様の方で実施していただきます。必要に応じてライターが参加し、企画を作り上げていく場合もあります。

(3)テーマ、切り口、トーン&マナー、ボリュームなどの設定

伝えるべきメッセージを、読者やメディアに応じてより具体的に落とし込んだものが、記事のテーマです。たとえば、「コーヒーをたくさん飲んでほしい」というメッセージを伝える場合、「コーヒーが健康に与える影響」「豆の種類による味のちがい」「おいしい淹れ方」「コーヒー好きの有名人」など、さまざまな記事テーマが考えられます。

切り口とは、著者の主観で語るのか、インタビュー形式か、体験中心か調査データ中心か、批判的に取り上げるのか、肯定的に取り上げるのか、といった点です。また、トーン&マナーとは、親しみやすくわかりやすい感じか、固い論説調か、敬体か、常態かといった点です。

ボリュームは、記事数、各記事の文字量などです。

この段階では、ライターとの打ち合わせをして、そのアイディアを得ながら作り込んでいくことが一般的です。

(4)取材、調査の準備

記事を作成するにあたって、必要な素材を想定し、準備します。具体的には、取材をする人物や団体、使用する資料などの調査などです。取材が必要な場合、取材趣意書や取材質問項目を準備し、取材の申し込みやアポイントなどの段取りを行います。

この段階では、お客様とライターとが打ち合わせをしながら進めます。取材趣意書等の作成や取材申し込みなどの作業は、お客様の方で行う場合もあれば、ライターが行う場合もあり、ケースバイケースです。

(5)取材、調査の実施

取材や資料調査を実施します。特に重要なのが取材です。取材は、単に「話を聞くこと」ではありません。取材側で一定の仮説や問題の枠組みを設定した上で、記事の構成を意識しながら、取材対象者の特徴、強みや弱みの輪郭を明確化し、定義していくプロセスであり、入念な準備と高度な技術が必要です。

取材はライターが行いますが、お客様が同行参加することもあります。

(6)内容構成案の作成

取材や調査によって集められた素材をもとにして、掲載メディアや分量に応じて、どのような構成の記事にするのかを決めます。得られた素材によっては、(3)で決定していたテーマや切り口を変更する場合もあります。

この段階は、お客様とライターとが打ち合わせをしながら進めます。

(7)執筆

文字原稿を書きます。必要に応じて図版原稿を作成します。

ライターが担当します。
なお、(1)の段階と結びついたマーケティング戦略から、いわゆるSEO対策として必要なキーワードを記事へ入れ込む必要がある場合、記事執筆の前に、お客様よりご指示をいただきます。ちなみに、近年では単純なキーワード数やキーワード位置によるSEO対策は効果が薄れており、情報として価値が高い記事内容を掲載することのほうが重要だといわれています。

(8)修正

完成した原稿に対して、お客様が内容のチェックを行い、必要に応じてライターが修正や追加を行います。軽微な修正の場合は、ライターに戻さずにお客様自身で修正をしていただく場合もあります。
修正を依頼する場合は、「なぜ修正をするのか」「どのような方向に修正するのか」という意図と方向性を明確にすることが重要です。それがないと、ライターが修正の方向性を間違えしまい、再修正となることもあります。通常、修正対応は1回のみとなります。

お客様からの指示を受け、ライターが担当します。

(9)校閲、校正

「校閲」とは書かれている内容の正しさを確認することであり、「校正」とは文章や文字づかいの正しさを確認することです。これらは、執筆とは異なるジャンルの業務です。ライター側でも内容チェックや、最低限の誤字、脱字のチェックなどは行っていますが、より完成度の高いチェックが必要な場合は、専門の校閲者・校正者(校正専門会社)による確認が必要です。とりわけ、印刷物の場合、作成後の修正は難しいため、可能な限り専門校正者のチェックを受けることをおすすめします。また、必要に応じてお客様の社内でのチェックも行っていただきます。

ライター、専門の校閲者・校正者、お客様がそれぞれ担当します。